クライミングからBCスキーまで、この地球にある山と自然を全力で楽しもうとする、とある人間の軌跡。

2020年9月24日

クイックドローのアンクリップについて

event_note9月 24, 2020 editBy W.Ikeda forumNo comments

 

小川山、屋根岩4峰のノイズイノでトライ中、クリップをしたはずのクイックドローが気づいたらアンクリップされていた現象についておそらく原因がわかったので、経緯とともに書きたいと思います。


結論から言うと、ムーブ・ピン位置・クライマーの位置関係によって、クライマーのハーネスがビレイヤー側のロープに引っ掛かかることによって、必然的に起こったアンクリップ現象の可能性が高いです。


問題となった機構。
エイトノット側がクライマーのビレイループに相当。
立ち上がるときに、クライマーがビレイヤー側のロープを引っかけると
アンクリップされる可能性が。


自分は今まで意識したことがなかったし、そもそも聞いたことのなかった現象だったので、知らない方も多いと思い共有しておきます。


場所

小川山、屋根岩4峰、ノイズイノ、4ピン目

ノイズイノは左上するダイクを伝って上るスラブのルート。
問題の4ピン目はまさに写真でクライマーがいる場所周辺。


おおよその経緯

パートナーがリード後、自分がクイックドローがセットされた状態でトライ。
4ピン目にて下部から手繰った状態でクリップ(ビレイやーも確認済)
その後ムーブを起こしてピンが足元になったところで下を見ると、クイックドローのロープ側のカラビナからロープがアンクリップされている状態になってるのに気づく。


クイックドローとクライマーの位置・ムーブの関係

ルートは左上するライン取りのため、クイックドローのゲートは右向き。

ただ4ピン目周辺でのムーブは、ピンを腰付近にして右に上がってからそのあと左に立ち上がるムーブ。


使用したギア

・クイックドローのスリング部分:ペツル・スピリット用15cmスリング

・カラビナ:べアールのワイヤーゲートカラビナ(下写真の下のビナ)

外れた仕組み:クライマーのハーネスとビレイヤー側ロープの干渉


アンクリップされた原因としていろいろな可能性はあるかと思いますが、おそらくもっとも可能性が高い機構はこの上の図の通りです。


ビレイループやギアラックなどハーネスや体の一部(画像ではテーピングで示している)がクイックドローのビレーヤー側のロープに引っ掛かる。


②③一時的に右上する方向に体が上がるときに、ハーネスに引っ掛かったままビレイーヤー側のロープが引きあがる。


そのままロープが引っ掛かった状態で左上するムーブに入ると、ゲートを開ける方向にロープが引かれる


この状態でアンクリップが成立。


この機構のアンクリップが起きうる条件

以上のような仕組みが起きうる条件としては以下の通りだと思われます。

・クイックドローが逃げられないほど、ハーネスとボルトの位置が近い

・ロープがビレイループやギアラックなどハーネスと干渉する(緩傾斜だと引っ掛かりやすい)



その他

以上で書いた機構はあくまで推察の域を出ませんが、もっともらしいものだと思っています。

ただ、一応それ以外の可能性も無視はできないので、一応ほかの候補も記載しておきます。


①逆クリップしていた

→緩傾斜・中間のスリングが太いから反転もしずらく可能性薄


②そもそもクリップしていなかった

→下部からかなり手繰ってクリップしたので、クリップミスならロープも落ちてビレイヤーも気づくはず。


③中途半端なクリップになっていた

→カラビナのゲートに挟まっているなど、中途半端なクリップになっていた可能性。

→ただ、クライマーがピン下からピンのそばまで登っている最中、ビレイヤーは余分ロープを引けていたので、カラビナ内でロープが動く中途半端な状態のクリップは考えにくい。


④岩の突起などに引っ掛かってゲートが空いた

→下降中4ピン目周辺でいろいろクイックドローを回転させて試してみたが、ゲートが引っ掛かりそうな突起などはなく、こすりつけてもゲートが開かなかった。



と、簡単にまとめて書いてみました。

みなさんも是非お気を付けて。








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