クライミングからBCスキーまで、この地球にある山と自然を全力で楽しもうとする、とある人間の軌跡。

2020年8月18日

ゆるふわ利根川本谷

event_note8月 18, 2020 editBy W.Ikeda forumNo comments

8/14~16 利根川本谷


青鬼メンバー(ぺコマさん、ちっぺさん、元気さん、自分)とTさんの5人で利根川本谷へ行ってきました。

実は最近行っていた沢はこれに向けたトレーニングだったのです。


沢の総合グレードは5級?とあり、いままで自分が行ったことのある沢の中で最難。


なので正直結構ビビって挑戦したのですが、結果はコンディションに恵まれたこともあり、かなりゆるふわ系でした。

 


8/13 : 移動

夕方に東京発。新潟の十字峡に車をデポして横浜組と合流。


車を一台デポ。


水上に戻り道の駅でビバーク。


8/14 : 奥利根湖~シッケイガマワシ~ヒトマタギ~滝ヶ倉沢出合


朝、車で奥利根湖のふもとの民宿やぐらへ向かい、ボートで奥利根湖の端っこまで送ってもらいました。


民宿やぐらさん


もちろんボートアプローチの沢なんて初めてなので興奮しまくり。

ボートを事前に用意してもらう。


牽引してきたボートをザブーンとして


それにしても奥利根湖でかすぎ。これは確かに湖畔歩いてアプローチする気はなかなか起きませんわ。

出港!(この時点でもう興奮マックス)


のんびり。

最初はのんびり河原を歩きながら、シッケイガマワシでようやく水に浸かる感じ。


ようやく深くなる。


小さい滝登ったり。

天気はサイコーで一日中晴れ。


水遊びしたりしながらのんびり進みます。


ゴルジュも水が少なく、丹波川本流のように圧迫感を感じることのない平和な沢旅。


そうこうしている間に越後沢出会いも通過。


越後沢出会


ひたすらいい天気。


この先、ヒトマタギをまたずにヒトマタギできてしまうほどだから水量は大分少ないのかな?

ヒトマタギ




そうこうしている間に滝ヶ倉沢出合に到着しビバーク。

ビバーク地点。

青空の元焚火。

焚火でガンガンあったまっては、真夜中に沢に入って体を冷ます天然サウナなど楽しい夜でした。



8/15 : 滝ヶ倉沢出合~オイックイ~大利根滝~ハト平


翌日は雪渓通過で有名なオイックイ通過の日。


前日から水温も高く、水量も少なかったので


「去年も雪少なかったし、なんなら雪渓もうないんじゃない?」


みたいな話をしていたのですが、前日の夕方に釣り組がビバークサイトのすぐ先に雪渓があることを報告してくれました。

ビバーク地点からそう遠くないので、朝なら問題ないでしょ?と言って出発。


オイックイの雪渓一つ目。


崩れないことを祈りくぐる。

一つ目の雪渓は無問題だったのですが、その先沢を遡行しているといきなり沢の水が濁り水温が急激に低下。


急に土砂が混ざり、濁る。


上流で雨でも降ったのかと考えたのですが、どう見てもそういう空ではない。


悩んでるうちに、雪ブロックが沢を流れてきて、それですべてを察しまっした。


流れてきた雪

雪渓に近づくにつれ流れてくる雪が大きく。



僕らの通過予定の上流部の雪渓が遡行中に崩落して、それによるブロックの溶け出しと上部に乗ってた土砂が流出したのです。

実際に20分ほど歩くとついさっき崩落したばかりに見える雪渓が。


行く際にはついさっき崩壊した雪渓が。


引きで見て。


朝でも雪渓が崩落することを知った驚きと、あと30分ずれていたらブロックの下敷きだったことを考えるとなかなかヒヤッとしました。

なんというか、沢のリスクって見えにくいですよね。


トポでは巻くって書いてある滝も泳ぎ+へつりで突破。

GT。

魚止め。

案外この先の巻きも悪い。

その先滝が少しずつ出てきて、魚止の滝へ。

この高巻きは少し緊張した。

その先も大利根滝までしっかりしたサイズの滝が少しずつ増え始め、要所要所でロープを出しながら。


一歩悪いところも。



大利根滝は右壁を。


ちなみに利根川本谷は全体的にめちゃめちゃ滑りました。

フェルトソールでもラバーソールでも無力感を感じるほど圧倒的に滑るコケ付きの岩が沢山あり、かなり苦しみました。

別に重大な問題にはならないんだけど、ひたすら歩きにくい。


膝打って、コケて、あぁあああっていら立っている間に気づいたらハト平。


ハト平の幕営地で。


この日も焚火を囲んでのビバーク。

何やかんだで2泊連続の沢は初めてでした。



8/16 : ハト平~人参滝~稜線~丹後山避難小屋~十字峡


3日目は前半から滝が連続。


ゴルジュ感が引き続き。

小滝


へつってカチって、マントルして。

直近1年半ほど山を離れてただのフリークライマーをしていましたが、結構活きてきた。

クライミングスキルがある程度あると、全体的に沢でも余裕が出てくるし、なんやかんだで山的にもこの1年半は無駄ではなかったと知り、少し安心。


これは?

また

崩壊しとる。w

とここで、再び水が濁り水温も下がり、昨日の雪渓崩壊インシデントアゲイン。

2日連続通過直前に崩落って運がいいのか悪いのか。




時々ロープを使いながら、快適に進めば、あっというまに最後の4連爆。


前半2つだけロープを出して後半二つはフリーソロ。



みんな思い思いのラインを。


案外高度感があったり。


巻いたほうが無難と書いている滝を水線で突破してしまうちっぺ先生。

深山滝


最後の水上滝


(それでも人参滝を浅打ちハーケン一枚で突っ込むちっぺさんには恐れ入りました。)


とか言っていたらすぐに雪渓に出て、秒速で稜線。


藪漕ぎもなくこんなに楽でいいの?って感じで利根川本谷遡行終了。

少し歩くとすぐ雪が来て

利根川源流の碑。


記念碑で写真を撮って下山するだけ。


最終日は上部で時々雨は降ったけど、下山するにつれてみるみる気温は上がり、灼熱の太陽の元に。

おまけにアプローチシューズを持ってこなかった自分はフェルトソールで落ち葉の急坂滑りまくりの地獄でございました。


泥だらけ+汗まみれで登山口についたけど、その先にある川に迷わずダイブ。


お疲れ山でした。


体を冷やして気持ちよく下山しましたとさ。



雑記

今回の沢は今シーズン沢を再開するにあたって設定した2つの目標の一つでした。

相当ビビって入った割にはだいぶ簡単に終わり一安心。


そこで、ではなぜ5級というグレードがついているのか考えるとやっぱり不確定な要素の振れ幅とエスケープの難しさについているように感じました。


例えばアプローチはボートで送ってもらえたので一瞬でしたが、入渓してすぐトラブルがあっても、もう既にそこは圏外。

もちろんボートももういないため、最低でも2日奥利根湖のヘリを移動しないと人へ助けを求めることは出来ません。


当然ながら遡行中もずっと圏外。なんなら丹後山稜線~十字峡も圏外。

行程の中盤で事故を起こしても、通報のためには完全に沢を抜け切るしかないっていうシビアな周辺環境はこのグレードに反映されているのでしょう。


あとはもちろん水量。

水量が増えればゆるふわなゴルジュも丹波川本流のような激悪な沢になります。

雪渓の通過もしかり。


利根川本谷のようにゴルジュが発達している沢では特に視界が狭く、側壁の裏にある落石帯も見えないし、上流部の雲行きも見えない。

特に先ほど書いた通り、沢登りのリスクは見えにくいので。


今回は各種コンディションに恵まれ、だいぶのんびりと行けましたが、こういううまく行った時こそ成功体験バイアスを今後抱かないように反省する必要があるのかなとも思います。






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