クライミングからBCスキーまで、この地球にある山と自然を全力で楽しもうとする、とある人間の軌跡。

2020年9月1日

8/29~31 黒薙川北又谷

event_note9月 01, 2020 editBy W.Ikeda forumNo comments

 

8月もラスト。

ここのところ晴れ続きで、長梅雨の影響で増水気味だった北アルプスの沢の水量も落ち着いてきた模様。

ということで、黒薙川北又谷へ行ってきました。



メンバーは自分とちっぺこパイセンの3名。

もともとちっぺこさん達が計画を立てており、そこに便乗させてもらった形です。

(ありがとうございます)


今年からまともに始めた沢登りなので、アルプスの沢自体初めて。

7月に中央アルプスの沢行こうとしたけど流れちゃいましたからね...


なにがともあれ、結論から言うと黒薙川北又谷は噂に違わぬ素晴らしい沢でした!

ということで、簡単な記録を。



8/28 移動

前日夕方にちっぺこさん達の車で東京出発、親不知まで移動して道の駅で宿泊


8/29  越道峠~北又谷入渓~中瀞手前の河原

早朝に車を坂田峠へデポ。


坂田峠にタクシーを事前予約

そこからタクシーで越道峠まで移動。1時間ちょっとくらい。


越道峠の入山地点

ここからなぜ地形図に載っていないのか不思議なくらい明確で整備された道を上がっていき、顕著なコルまで。


コル。


コルからよく見ると明確な踏み跡があり、これが北又谷への下降点。


懸垂も不要で歩きやすい。

下降に関しては特に問題なく、20分くらいで北又谷へ。


水が少ない~~♪


歩きはじめるとすぐに魚止めの滝へ。


歩きはじめると、すぐに。。。

魚止めの滝発見!

今回は下部の滝(魚止め、大釜淵、又右衛門)3つを一人ずつリードしようという話になったので自分が魚止めの滝をリードすることに。



せっかくなので、一応持ってきたクライミングシューズに履き替えてトライ。

最初はかなり水面に近いラインを登ろうかと思ったけど、予想以上に難しかったので、
泳ぎで右ルンゼへ上陸し、少し登ってから落ち口へトラバース。

岩、スタンスともにしっかりしており、問題なく通過。
乾いていたら5.8くらいかな?


ビレイポイントはカムで。


無事通過して一安心。

と思ったら、落ち口の奥はホールドがない。

ということで飛び込み(笑)


距離はないけど、ミスって流されたら魚止めの滝まで一直線だもんね。

その後も豊富な水量の中、流れを読みつつ前進する。

側壁トラバースだったり

としていると、すぐに大釜淵へ。

釜の形状故に綺麗な洗濯機となっており、ガンガン強い流れがくる感じ。


上から見て時計回りの水流がすごいんです。ほんとに。


ちっぺさんがリードするも、数回流されて選手交代。

ぺコマさんが突破して後続が続きました。


ロープ確保は必須。


ちなみに今回、いくつも水流沿いの厄介な場所があったけど、そういった場所では

  1. リードはロープを付けて、空身で突破
  2. 登れたら、リードが3人分の荷物をロープで荷揚げ
  3. 2人目は状況に応じてリードもしくはラストがビレイ
  4. ラストは上からのビレイしかできないので、ライフジャケット(1着だけ持って行った)を念のため着用
という感じで進みました。


沢で流されたとき、ロープがあるが故の水中スタックの事故もあるので、その可能性をできるだけ排除したのが、上の方法。


そしてもう一つ大事にしたことが、滝ごとにシステムを確認すること。

沢の事故を調べると、多くがパーティー内での意思疎通不足に起因しており(沢の音で声が届きにくいということもある?)、それを防ぐためにも毎回システムを確認して必要なところではロープを出しました。




そんなことを言っていたら、すぐ又右衛門の滝が。

ボルダームーブ。


綺麗な滝で、なんか伊右衛門のお茶のCMで出てきそう。(笑)


この6m程度の滝を巻くのに3時間とか使うのもなんか癪なので、全会一致で突破することに。


クライミングシューズに履き替え、泳いで弱点らしいところに取りつく。

釜は深くて落ちても大丈夫なので、気が楽。(実際一回落ちた笑)

ムーブ自体は、ホールドが一部悪く、結構テクニカルな4級くらいの動きをすることに。


クライミングやっててよかった~~

さすがにコレ、クライミングシューズなしはキツイと思います。

持ってきてよかった。


この滝、構造的にエイドもお助け紐もかなりやりにくいし、ロープライン的にごぼうもキツそう。。。

ということで多分突破には全員のクライミング力が必要かと、、、

これまで1年ちょっと集中してやっていたクライミングが活きて、
「今まで自分のやってきたことは無駄ではなかった!」
と思え、結構うれしかった瞬間でもありました。

まあ、3時間も高巻きするなら、クライミング鍛えて、こっちで突破でしょ!

その後も面白い突破が続き、


結構テクニカルなへつりだったり、


滝だったり

ようやく谷が広がりビバーク適地へ。

滝を巻かずに済んだせいか、だいぶ時間に余裕のある15時にはくつろぎモード。


焚火を囲んで乾杯!

1日目はこれにて終了!


8/30  中瀞手前の河原~長持淵~サルガ滝~吹沢谷出合手前の河原


2日目!夜中に少し雨に降られたけど、出発時には天気が持ち直しました。

(全員寝坊して、起きた時には既に出発予定時刻だったのは内緒)

朝から楽しませてくれます。

序盤から中瀞だったり長持淵といったゴルジュ地帯が続き、泳いだり、へつったりの繰り返し。

泳ぎからへつりへ移動するところが結構悪い。

こんな格好いいところも。

これ、右の水流は突破困難で左のチョックストーンとの間を登るんですが、
その場所に側壁から滝が!

しかもワイドムーブしなきゃで結構ムズイw

よくわからなかったけど、白金の滝は気づいたら超えていた。
もしかしてここら辺?


朝日が美しい!

3段の滝の2段目はちっぺさんがネイリングで突破!
すごい。


ネイリング未経験の自分は完全に戦力外。ゴメンナサイ。

そして上部は気迫のトライ。さすがです。

ラストの自分はハーケンを回収しながら登る。



その後も小悪いところが続き、

こんなハイボールをフリーソロしたりしていたら、


サルガ滝に到着。



とここで、イワナの群れがいる場所を発見。

しかも、片開きの狭い場所に!



ということで追い込み漁をすることに。
(行程中所々で竿は振ったんだけど、結局ヒットはせず。。。涙)

原始的。

んでもって3匹ゲットです。

サルガ滝は巻き道もしっかりしており、問題なく通過。
懸垂は20mくらい。

吹沢谷出合のすぐ手前の広い河原でビバーク決定。

この日も快調で14時過ぎには行動終了。


ゲットしたイワナを酒の肴に。

翌日の下山を確信したので、残っていたつまみや酒を全放出。
これで明日何があってもビバークせずに下山するハズ....


8/31  吹沢谷出合手前の河原~宗八郎滝~栂海新道~犬ヶ岳~白鳥山~坂田峠


未明に雨に逢い、3:40くらいだったので、そのまま起床。

この日は序盤は河原歩きなものの、すぐにゴルジュ帯になります。



水量は少ないから安心感はあるけど、



それでも結構深かったり、テクニカルだったり、


最後まで飽きさせません。



結構立ってて、ヌメって、悪い。

最上部のツメの直下、トポに載っていない謎の滝を高巻いたり(直登していない滝はこれとサルガ滝だけ)、

しかも最後まで悪い。

滑る藪に苦しんだり、

栂海新道へちょうど抜けるところ。


登山道直下の藪はかなり濃くて、藪嫌いな自分は悪態をつきまくりながら登山道へ。

犬ヶ岳にトップアウト!(顔が死んでる(笑))

あとは栂海新道を坂田峠まで下山するだけです。

犬ヶ岳より南部が崩落しているみたいですが、
少なくとも犬ヶ岳~坂田峠間は通行に問題はありませんでした。


だけど、この下山、かなりアップダウンがあり、1年半ほぼフリークライミングだけだった自分は体力低下が顕著でかなりきつかったです。(情けない)

途中でアミノバイタルを2本もドーピングしてなんとか白鳥小屋へ。

白鳥小屋

最後の坂を下り、やっと坂田峠へ。犬ヶ岳から4時間程度かかりました。

つかれた~~~

お疲れ様でした!




今回の北又谷は噂通りの素晴らしい沢でした。

美しさ、内容の濃さ、難易度、シビアさ、楽しさ、キツさ、全てが5つ星の名渓。

毎日内容が濃く、それでもって変化に富み全く飽きさせない感じが完璧。


総合的な難易度としては、利根川本谷よりも数段難しく感じました。


簡単すぎず、毎日しっかりと緊張しているのに、これほど楽しい沢があるなんて。


ちなみに参考までに記しておくと、今回の遡行時の黒薙川の水量は、国土交通省のデータベース(サイトはこちら)で0.73~0.74程度でした。

前後のデータをいろいろ調べると、おそらく0.73はほぼ最低水位で、このタイミングで遡行できてよかった。

(そして脱渓後すぐに水量が跳ね上がってますね。。。)



いままでほとんどやってこなかった沢登りですが、幸か不幸かコロナの影響でしっかりと本腰を入れることができました。

最初は簡単な沢からスタートしたけど、徐々にステップを踏んで、結果利根川本谷や北又谷を無事遡行できてよかったです。

一緒に行ってくれたちっぺこさん、ありがとうございました!



そして同時に、ようやく沢登りのスタート地点へ立てた気がします。

もっと厳しい、未知の沢に行ってみたいなぁ~と。


帰りに親不知もちょこっと見学。


とか言ってると、もう9月になって台風の兆しも。。。( ;∀;)

なにがともあれ、ご安全に。






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